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日別アーカイブ: 2025年6月23日

第10回訪問看護雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社Fountain Valley、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~社会保障制度~

ということで、精神疾患と向き合う方々を支える制度の仕組み、課題、そして今後の方向性について深く掘り下げていきます。

 

うつ病、統合失調症、不安障がい、双極性障がいなど、精神疾患を抱える人は年々増加傾向にあります。精神疾患は「目に見えにくい障害」であるがゆえに、理解されにくく、社会参加に困難を抱えることもしばしばです。そんな中で、社会保障制度は当事者の生活を支える大切な“セーフティネット”です。


1. 精神疾患と向き合う社会の現状

■ 数字で見る実態

  • 精神疾患を有する患者数:約600万人(厚労省推計)

  • 中でもうつ病や不安障害は20~40代に多く、就労や学業継続に影響

■ 偏見と孤立

  • 「怠けている」「甘えている」という誤解

  • 障害の“見えにくさ”からくる支援の行き届きにくさ

だからこそ、制度の活用は「生きやすさ」を手に入れる重要な手段なのです。


2. 精神疾患に関わる主な社会保障制度

■(1)精神障害者保健福祉手帳

  • 精神障がいの等級(1~3級)に応じて交付される

  • 各種割引(公共交通機関、携帯電話、税金軽減)を受けられる

  • 就労支援や福祉サービス利用時の“証明書”としての役割も大きい

■(2)障がい年金

  • 障がい基礎年金・障がい厚生年金があり、生活支援の柱となる制度

  • 初診日と保険加入要件、障害認定日の状態によって支給の可否が決まる

  • 精神疾患による就労困難な場合の「生活保障」の一助に

■(3)自立支援医療制度(精神通院)

  • 通院医療費が1割負担に軽減される制度(所得に応じて上限設定あり)

  • 精神科通院にかかる負担が大幅に軽減され、治療継続を後押し

■(4)就労支援制度(就労移行支援・A型・B型など)

  • 訓練・職業紹介を通じて社会復帰を目指す

  • 利用者の能力や病状に応じた柔軟な支援プランが用意されている


3. 制度活用の課題と障壁

■ 知られていない制度

  • 精神疾患のある方自身やその家族が「制度の存在を知らない」ケースが多い

  • 医療機関や福祉窓口での情報提供が不十分な場合も

■ 申請のハードル

  • 手続きの煩雑さや、症状による判断能力の低下が申請の障害に

  • 精神疾患特有の「変動的な症状」が認定に影響することも

■ 偏見の残る現場

  • 職場や教育現場でのスティグマ(負の烙印)

  • 制度利用者に対する「逆差別」といった誤解


4. 社会的背景と制度の進化

■ 精神保健福祉法の変遷

  • 昔は「隔離・保護」が重視されたが、近年は「地域生活への移行支援」へ

  • 精神疾患は「治療すべき病」であるとともに「共に生きる障がい」へと再定義されつつある

■ 共生社会の実現に向けて

  • 精神障がいも「障がい者差別解消法」の対象に

  • 学校教育・企業研修でのメンタルヘルスリテラシー向上も期待


5. 今後の展望:制度から“社会理解”へ

制度は重要ですが、それ以上に求められるのは「社会全体の理解」です。

  • 障害者本人の“語る力”の尊重

  • 家族・支援者の「寄り添い方」の見直し

  • 医療・福祉・行政・地域が連携する“複合支援体制”

精神疾患のある人も、そうでない人も、誰もが安心して生きられる社会へ。その第一歩が、制度を知ることです。


おわりに

精神疾患を抱えて生きることは、容易ではありません。しかし、日本には支援制度があり、それを正しく知り、活用することで「生きる力」を手にすることができます。

 

 

 

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