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日別アーカイブ: 2025年7月18日

第11回訪問看護雑学講座

皆さんこんにちは!
合同会社Fountain Valley、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~多様化~

医療の“最前線”は、いま家庭の中にある

「病気になったら病院へ行く」という当たり前が、
いま、「家で暮らしながら医療を受ける」という新たなかたちに変わりつつあります。

その最前線に立つのが訪問看護です。
かつては高齢者や終末期の患者を対象としたサービスが中心でしたが、近年では対象者・内容・担い手・技術・地域連携にいたるまで、多様化と進化が加速度的に進んでいます。

「訪問看護の多様化」について、6つの視点から深く掘り下げてご紹介します。


1. 対象者の広がり:年齢・疾患・背景の多様化

以前は「高齢者の在宅ケア」というイメージが強かった訪問看護ですが、現在では全年齢・あらゆる疾患・多様な生活背景を持つ人々が対象となっています。

  • 小児(医療的ケア児、先天性疾患、発達障がい)

  • 精神疾患(うつ、統合失調症、依存症など)

  • 難病患者やがん末期の方

  • 障がいを持つ若年者

  • 認知症や生活困難を抱える高齢者

このように、「医療が必要だけれど、病院ではなく自宅で暮らしたい」という人々に寄り添う存在として、訪問看護の適用範囲が広がっています。


2. サービス内容の多様化:医療から生活支援まで

訪問看護は、単なる「点滴やバイタルチェック」だけではありません。今やそのサービスは、医療+生活支援+予防+看取り+心のケアといった包括的な支援へと拡張しています。

主なサービスの一例:

  • 褥瘡(床ずれ)や傷の処置

  • 在宅酸素や人工呼吸器の管理

  • 排泄・栄養(胃瘻・IVH)ケア

  • リハビリテーション

  • 精神的ケア・服薬指導・自立支援

  • 看取り・グリーフケア(死別後の家族支援)

  • 予防的な健康管理や転倒予防の指導

つまり、単なる“看護”を超えた“在宅総合支援業”といえるほどに、多機能化しているのです。


3. 担い手の多様化:チーム型の訪問看護へ

訪問看護は、看護師だけでは成り立ちません。
医療・福祉・介護・心理・行政など、多職種連携を前提としたチームケア体制が主流になりつつあります。

  • 医師(主治医)との連携

  • 訪問リハビリ(PT・OT・ST)との協働

  • ケアマネジャー、介護職との連携

  • 精神科医や心理士とのサポート体制

  • 薬剤師や福祉用具専門員との協力

  • 行政・地域包括支援センターとの情報共有

これにより、患者本人や家族を多方面から支える“在宅医療のプラットフォーム”としての機能も果たしています。


4. ICT・テクノロジー活用の進展

ICTやテレケア(遠隔支援)の進展により、訪問看護の働き方やサービスの在り方にも変革が起きています。

  • スマホ・タブレットによる訪問記録の電子化

  • オンラインカンファレンス・医師との情報連携

  • センサーによるバイタル監視と早期異常検知

  • 高齢者見守りシステムとの連動

  • ロボットアシストによる移動支援・生活補助

こうした技術の導入により、時間や距離の制約を越えたケアが可能になり、離島・過疎地でも質の高い支援が実現しつつあります。


5. 働き方・運営形態の多様化

訪問看護ステーションも、運営主体や働き方に多様化が見られます。

  • 医療法人・社会福祉法人・NPO法人・個人事業主による開業

  • 夜間・24時間対応型、緊急往診対応型の事業所

  • 小規模でも地域密着のケア提供モデル

  • 男性看護師や育児中の看護師の活躍

  • フリーランス看護師の業務委託型訪問など

これにより、多様な背景やライフスタイルを持つ看護師が柔軟に活躍できる現場が拡がっています。


6. 社会課題との接続:地域共生・包括ケアの柱に

訪問看護は今や、個人の支援にとどまらず、社会の持続可能性や地域づくりに関わる公共的な役割も果たし始めています。

  • 在宅死の支援による医療費抑制とQOL向上

  • 医療的ケア児の保育・教育環境との接続支援

  • 引きこもりや家庭内暴力など複合課題への支援

  • 外国人・難民・LGBTQ+など多様な対象への包摂

  • 地域包括ケアシステムの中核機能としての参加

つまり、訪問看護は「病気の人を看る」だけではなく、地域社会のあり方そのものを支える多機能サービスへと変化しているのです。


暮らしに寄り添う医療のかたち

訪問看護は、病院でも施設でもない、「その人の“生活そのもの”に寄り添うケア」です。

その現場は今、多様化という変化を受け入れながら、

  • 医療のすき間を埋め、

  • 地域の孤立を防ぎ、

  • 人が“その人らしく”生きることを支える。

こうした意義を持ち、日本の医療と社会を支える“もう一つの現場”として、静かに進化を続けています。

 

 

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